先ずマフラーという装置、
システムそのものについての話を聞かせてください。
元々マフラーというのは「消音装置」といって、エンジン音を小さくする。
その為につけたもの。
よく言われている空気を綺麗にするだとか、
大気汚染や、環境に悪いものを排出するから綺麗にしてから排出するというのも
マフラーの役目ですよね?
それはうんと時期が後になってくる。
当初は、排気効率だとかそういったのを重視して作られていた。
一気にマフラーがなしで、要は直管マフラーというやつだよね。
それだと排気が「速すぎて」エンジンの出力を充分に発揮できない。
ある程度の抵抗を付けて、音も小さくしてっていうのが
マフラーのそもそもの発想だよ。
エンジンの勢いが強すぎるから、マフラーのシステムで勢いを瞬間圧縮するのですか?
排出する勢いを弱める。
小さくする為にそこで大きな力を1回受け止めるといったイメージでしょうか?
そう。それでエンジンの最大出力に近いパフォーマンスを出して
クルマを動かそうっていうイメージだよね。
それと同時に音も小さくして、騒音にならないようにということで、
マフラーというのは考えられたの。
エンジンの出力を引き出しているのは
エンジンじゃなくてマフラーということですか?
エンジンそのものが出力を出しているのだけれど、
その手助けするためにいっぺんに排気を抜かないっていうことだよね。
一気に抜いてしまうとどうなりますか?
一気に抜いてしまうと、せっかく出したエンジンの出力もそのまま外に放出されてしまう。
そこで放出をある程度防ぐことによって、エンジン出力をもっと高めるわけだよ。
マフラーを外して走ると比較的エンジンの力がないようになるよね。
排気音ばかり大きくて、エンジンの力が無いなっていう感じかな。
じゃあエンジンで力を使って、推進力に変えるのはマフラーの役目だ!
ところが日本の場合は通称カリフォルニア規制といって、
排気ガスの規制が言われ始めた頃だよね。それが大体1970年頃ぐらいだよ。
それでまず1番最初に排気ガス濃度を下げるための装置が必要になって、
マフラーに触媒を入れようという流れになったわけ。
要するに排気ガスの減少装置だよね。1番最初に考えられたのが白金触媒っていうやつ。
それから時間と共にエンジンの開発だとか、マフラー自体も改良開発されていて、
触媒自身も開発されていて、どんどん長持ちするようになったということ。
だからマフラーの触媒がだめになるっていうのは、エンジンの熱効率が悪いとか、
触媒にすごい負担をかけているとかっていうことになるんだ。
だから触媒がバラバラになる。
何でバラバラになるのですか?
通常の温度より触媒内部の温度が高くなると、中の触媒が焼けるでしょう?
耐えられなくなるよね。
茶碗なんかでもそうだよね。高熱を加えるとパリンと割れるよね。
それと同じように割れてくるの。
だからエンジンの調子が悪いまま乗っていると、
触媒を壊してしまう。
エンジンを正常な状態に保っていれば触媒ってそんなに悪くならないものだからね。
ただエンジンが調子悪いと中が焼けるから、触媒が焼けるから交換になる。
エンジンの性能とマフラーの処理能力のバランスが悪いと触媒に負担がかかり破損する。
エンジンのコンディションは正常に保たなければならないといったところでしょうか。
その辺もふまえて、今回の展示はかなり興味深くごらんいただくことで、
より一層知識が深まると思います。
「SEG」のサウスポートショールームで、キャタライザーの展覧会を開きます。
状態を保存し、展示することが非常に困難なパーツでした。
残念ながらいままでご紹介できなかったのは
そのような理由からで、今年の初めころ
なんとか原型をとどめた状態での交換作業があり
たくさんのみなさまにご覧いただきたいと思っております。
(土、日、祝) 10:00~17:00
11月5日(木)まで開催します。