メルセデスベンツのエアコン: 進化とトラブル

 

メルセデスベンツ エアコン
マニホールドゲージ

メルセデスベンツのエアコン

快適な車内空間を実現するエアコン

今回はメルセデスベンツの冷房装置についてとりとめのない話を語ってみましょう。
俗に言う「クーラー」というやつです。

おっと、いまはエアコン(エアコンディショナー)と称され
365日クライメートコントロールを行なっている、それです。
室内の温度設定を22℃から25℃にセットさえすれば、
冬はヒーター、夏は冷風と勝手にやってくれるやつです。
家よりも快適かも。(失礼しました。)
ともかくとっても便利になってきました。

また、冬に室内を温かくして、
外が冷たい雨の降る日などは、室内が曇ることが無く、快適にすごせるっていうすぐれもの!
曇ってデフを回すっていうのは、今どきちょっと意味合いが違うのではと思います。
ガラスが凍った時にとかすのでは?それか昔の異物では?

アメリカ発祥のクライメートコントロール

クライメートの発祥の地はアメリカと聞いています。
大陸を渡るのに、昼間は灼熱、夜はラジエター水も凍ってしまう程の温度差を
何ごとも無く快適にドライブしたとの事です。
そういえば、70年代初期のアメ車にはエンジンルーム内にボトルが固定してあり、何かと思っていました。
中身は不凍液を入れたのです。

しかし、多数のドライバーはアルコールを入れて不凍液の代わりにしたとか、しないとか。
車、人間共に寒さには弱かったと思えます。
その前のことは知りません。
キャデのブロアム、フリートウッド、ビュイックのGS。
良き時代でした!!

私のカーエアコン遍歴と雑感

4ナンバー車とダルマ型ヒーター

私が修理を始めた頃、たしか4ナンバーにはヒーターというものが付いていなかった車種もあったように記憶している。
なぜならば、「後装着」今で言うオプションで取り付けを行なったように思います。
いわゆる「ダルマ型」です。
これも当時は優れもので良く出来ていました。

ただし、中身のコア部分が良く水洩れを起こしたり、内蔵されていたモーターが止まってしまった記憶もある。
とにもかくにも、大変重宝をさせてもらえた逸品であった。
私が免許を取得して初めて買ったのは「クラウン」である。
車1年付き5万円(当時は初度から10年経つと1年車検だった。)

ベンコラの1900ccだった。パワー関係は何もなし、全てマニュアル式。
さっそくお決まりのスプリングを切ってピョコピョコと!!
わざと悪路をよけて、反対車線にまで入り込み
「おれのはシャコタンだぜ」って走っていたものでした。
おまけに鉄チンホイールでタイヤはバイアス。
どう見てもイカしてはいませんでした。

クーラーなしの車で過ごした猛暑と極寒

なぜアルミ、ラジアル…。というでしょうが
当時は今のレース用のそれよりも高価でした。
こいつになんとクーラーという物が付いていなかったのでした。

夏のある日、数人で「軽井沢に行こうぜ!!」というはなしがあり、もちろん私も参加しました。
当時のウスイ峠は、バスが対面できない所があり、
向う方向は大渋滞でした。
はたと、回りを見渡すと窓を開けているのは我ひとり。
真夏の暑さをもろともせず、すぐさま窓を全閉。
今となれば考えただけでも気分が悪くなっていしまう状態でした。

しかし、そのうちに何故か涼しく感じるようになってきたのを記憶している。
きっと病気になったのでしょうね。その後、一冬乗ってバイバイしました。
数年後、訳あって冬期にN3に乗ることになり、
さすがN3と思ってはいましたが、
いかんせんヒーターってやつが利かない。

走っている時はなんとかなるが、止まったとたん三崎の冷凍マグロ状態になってしまう。
同じ空冷ならばと、TypeIのヒータージャンクションをつけようと
試行錯誤が始まり、床板を切り落とした。
その結果どうやら収まり、なんとか冬を過すことができた。
もつべきは、良き友と痛感した時だった。

最高級車としての栄光と、冷房のない苦悩

VOLVO164という車があり、当時はVOLVOの最高級車だった。
型も大きさも内装も良く、また、価格もよかった。
しかし、最大のネックは春頃からクーラーが全くといってよいほど利かない。
何をやっても利かない。
こうなれば、データー抜きの荒療治しかあるまい。

エキスパンのスプリングをマニゲージとにらめっこをしながらガンガンにつめていく。
「ようやくぬるくなってきたぜ!!」
これでようやく夜は快適に乗れる、イヤハヤ。

全てがオートマティック。
すなわちご主人様の努力なしで勝手に自動で行なってくれる。
良き時代になった。
反面、トラブルや故障も多い。仕方のないこととも思える。
インプットされたデーターのみでしか考えることができない為、
情報を収集してもそれ以上の対処はできない。
せいぜい、停止できれば良しとしよう。

考えてみよう。
暑い日に、家族旅行に出かけ、突然エアコンと称されるものが
何かの理由でダウンしたとしよう。
少なくとも、本人以外は、全員オーバーヒート(暑さの為だけではなく)
目に浮かぶ様子ですナ~

せっかく高価なクライメートシステムになっているのだから
冬でもその時の為に常にCPはONにして温度調節を行ない
ベストにしておくことが必要と思われます。
「冬、室内の湿気が何となくとれない。」
「何かカラカラせず、ジトッとしている。」
おそらくガス洩れか何かでシステムに異常がある。

「いいや、冷風はいらないから春になったら修理をしよう!」
とんでもない話で、
ガス洩れ=各配管や他の部品部分の隅々まで湿気が入り、手後れになってしまう。
いわばサビなのです。

グレードによっては、新車買入時についているから
標準装備だと思っていたら大きな間違い。
あれってやつは、特にヨーロッパ車はオプションなのです。
だから壊れる!あたりまえの事だ!

修理代も高い。同年式、同車種でも国によって付いているものが違う。
一般的にオールクライメートなんつう贅沢品は、日本くらいじゃないのかなぁ。
現代の車は、全てがカンピーターで動いている。
一ケ所故障を起こすと、全てダウンしてしまう。

また、よせばいいのに勝手になぜか直そうとする。
良く言えば「危険回避」っつうことかな。
だから他に負担がかかってしまい
どうでもいいところにまで故障がおよんでしまう。

頭が痛ければ休んでいればいいのに
無理をするから入院するハメになる。
また、逆もありうる。
せっかくの車がイヤだイヤだといっているにもかかわらず、
それ動け!それ走れとやってしまうからいつかは大事に至ってしまう。
ア~ア。どっちもどっちかな。

ともかくもっと労ってあげてください。
めざましいシステムの向上により、基本的な冷房サイクルは残ってはいるが
それだけでは完璧とはいえない。
なぜならば、あまりにも快適さを求め過ぎたために、
過度な微調整を行ない、その為自分で自分を破壊しているように思う。

便利なものこそ活用しよう

ヒーター、クーラーで十分ではないか。
寒ければ温かくする。暑ければ窓を開ける、暑ければ冷やす、夕方になったら窓を開ける。
どうせ温度ダイアルはドライバーが動かすのだから
日本の空気はまだまだそんなに汚れてはいませんよ。
とはいうものの、便利なものは便利ですよね!

せっかくあるのだから使わなくては、損をしてしまいますよね!
使えるように整備します。一度ご来店ください。

また、エアコンについての質問・お問い合わせ・修理依頼などありましたらぜひご連絡下さい。

 

サカモトエンジニアリング代表 坂本 賢次

IMG 3233 大手ディーラー工場長を経て1992年に独立して同店を立ち上げる。
’90年代以前のメルセデスを中心に最高レベルのメンテナンス技術を提供。
数値的だけでなくアナログ的感覚を重視し、ユーザー本位の対応に努めている。