ブレーキの基本とメンテナンス:安全な走行のために
目次
ブレーキの基本原理 – 摩擦による制動
そもそもブレーキローターやブレーキパットというのは
使うたびにすり減らして効力を出しているものと考えてほしいです。
ですので、減らないパット、減らないローターは擦り減らないからブレーキの利きがよくないです。
パットとローターは、キャリパーのシールやリターンスプリングで常に触れるか触れないかの
ほんのわずかな間隔をあけている状態です。
そこで、走行時に止まろうと思い、ブレーキを踏んだ時に、パットだけをすり減らして止まろうとすると
ローターには、ものすごい強度を求めることになります。
そうすると、パットだけがどんどん擦り減ってローターが磨かれる状態になります。
磨かれるということは、ローターはつるつる状態になってしまいます。
するとどうでしょう。つるつるになってしまったブレーキは役には立ちません。
パッドとローターの関係 – 適切な摩耗の重要性
パットも適度に減る、ローターも適度に減る、その摩擦抵抗でブレーキを利かせているのです。
ローターにスリットを入れるとか、フェロードのパットになぜするのでしょうか。
パットとローターが接触したときの摩擦係数がとても大きくなるのです。
つまりブレーキが利くということです。
ローターにスリットを入れることにより、焼けたパットの面が削られ
常に新しい面がローターと摩擦し、とてもブレーキの利きがよくなります。
そのかわりパットの減りも通常よりもアップしてしまいます。
ブレーキダストと安全性 – バランスの重要性
よく耳にするのが、「ブレーキのパットの粉がホイールに付着して嫌なので
ブレーキダストの少ない、堅いパットに交換しました」ということ。
これはよくないです。結局のところブレーキの利きを悪くすることになるからです。
そして、ブレーキの鳴きまで生じてしまう可能性があります。
安全性を考えたらブレーキダストが出てしまうのは仕様の無いことだと思います。
ローターも使用していくと、削れて減ってしまいます。
減るというのは、実際に冷えた状態になったローターの面の端を触ってみると
非常にわかりやすいと思います。
どうですか?ローターに耳が出来ていませんか?
ローターにも使用限度があります。
ほんの少し(1mm程度)の耳であれば全体を研磨して再利用することも可能ですが
ローターも均一に減っているわけではありません。
ブレーキを踏んだときに、車体がブレたり、踏んでからブレーキペダルがおかしな動きで
戻ってきたりしませんか?そのような症状があれば、ローターに減りムラがある場合があります。
ムラがあるからスジが入ったり、ゆがみが出たりします。
ブレーキ部品のメンテナンスと交換の重要性 – 放置の危険性
ローターは、ブレーキパットを2回交換するうちの1回で交換を進めています。
しかし、そのローターの交換時期に研磨をした場合
次のパット交換時には、ローターを交換する必要が出てきます。
よく考えると、割高になってしまっていることに気が付くでしょう。
たまたま予算がなく、間に合わせで実施するならば良いでしょうが
やはり使用していれば、極限いっぱいまで削れてしまいますから
ローターにクラック(ヒビ割れ)が発生してしまう場合があります。
次にブレーキを踏んだ時に、ローターがバリッと割れてしまう危険性があります。
さて、パットもローターも交換せずに乗り続けたらどうなるでしょう。
パットの残も0mmローターも耳が出まくりの状態です。
とても危険です。
ブレーキを踏むと、鉄と鉄がぶつかり合い、もの凄い音がするでしょう。
その状態で無理をして乗り続けると、キャリパー内のピストンが飛び出してくることでしょう。
パットが無くなった時点で、ピストンはギリギリの状態ですから。
ピストンが飛び出したら、ブレーキオイルが全てそこから飛び出すことでしょう。
ブレーキペダルは床まで踏み抜けてしまい、ノーブレーキ状態になります。
さぁ、警告のセンサーが付いたらどうしなくてはいけないか、お分かりになった事と思います。
これ以上は危険ですよとメルセデスは教えてくれています。
ローターに耳が出てきたら危険なので、なるべくならばローターは交換しましょう。
車は命を乗せて走っています。