
目次
メルセデス・ベンツ S124 300TE 4MATIC:ATオーバーホールのご相談と診断のポイント
メルセデス・ベンツ専門修理工場、サカモトエンジニアリングのスタッフが、皆様から寄せられた疑問・質問にお答えする「一問一答」のコーナーです。
今回は、希少な「91年式 S124 300TE 4MATIC」にお乗りのオーナー様より、オートマチックトランスミッション(AT)の不調に関するご相談をいただきました。
オーナー様からのご相談内容
現在、約11万キロを走行されており、ATのオーバーホールを検討中とのことです。気になっている症状は以下の通りです。
-
症状①: 停車時に「P」から「R」や「D」へシフトを入れる際、ショックと共に「カツン」という音がする。
-
症状②: 発進から加速にかけて細かな振動が出る(常時ではなく、4速に入ると収まる)。
-
症状③: 走行中の変速ショックや滑りは特に感じられない。
これらの症状から考えられる原因と、整備の可否についてお答えします。
シフト時のショックと「カツン」という異音について
停車時のセレクト操作で大きなショックがある場合、まずはミッションの**「モジュレータープレッシャー(圧力)」**を確認する必要があります。
もしバキュームホースの脱落などで圧力が最大値になってしまっていると、シフトを入れた際に「ゴン」という大きな衝撃が発生します。その衝撃に伴い、どこかに遊び(ガタ)がある箇所が「カツン」と音を立てている可能性が考えられます。
この異音やショックの大きさについては、実際にリフトアップして確認するほか、オーナー様と一緒に試乗して状態を把握することが不可欠です。
発進・加速時の細かな振動について
「4速に入ると収まる」という振動ですが、これが必ずしもミッション内部の不具合(ATの故障)とは限りません。メルセデス・ベンツの場合、以下のような足回りや駆動系の劣化でも同様の振動が発生することがあります。
-
サスペンション関連: 足回りのブッシュ類の劣化。
-
ドライブシャフト関連: ユニバーサルジョイント部分の固着。
-
プロペラシャフト関連: センターベアリングやジョイントディスクのバランス崩れ、摺動部の不良。
特に発進時の低速域で出る振動は、これら「縦回転」のパーツが原因であるケースも多いです。
診断のアプローチ:まずは「消去法」で
オーナー様はATのオーバーホールを検討されていますが、現在の走行距離(11万キロ)や「滑り・変速ショックがない」という状況を鑑みると、いきなりミッション本体と決めつけるのは時期尚早かもしれません。
まずはミッション以外の駆動系や足回りに要因がないか、消去法でひとつずつ原因を切り分けていくのが最善のステップです。オーバーホールを実施する前に、まずは現車を確認し、どの部分に手を入れるべきかを見極めたいと考えております。
サカモトエンジニアリングでは、今回のような旧車特有のデリケートな症状にも柔軟に対応しております。まずは点検・診断から承ることが可能ですので、ぜひ一度ご相談ください。
