エンジンオーバーホール

バルブガイド異常とヘッドオーバーホール

バルブガイド異常とヘッドオーバーホール 1

シリンダーヘッドオーバーホール:原因、費用、そして予防策

バルブガイドの異常摩耗とシリンダーヘッドオーバーホールの必要性

バルブガイドが異常磨耗してしまい、バルブがフレてオイル下がりをして
バルブシートのあたり面が悪くなる。ベンツの場合8割9割がバルブガイドです。
シリンダーの密閉(気密性)が悪くなるためにエンジンがフレてしまいます。
そうするとシリンダーヘッドのオーバーホールになります。
車種によってはエンジンを下ろさなくてもできますし
下ろさないと外せない車種もあります。

V8と4気筒エンジンのオーバーホール費用と部品交換

V8だとエンジンを下ろさないとヘッドが外せません。
最低60万円からぐらいの費用が掛かってしまいます。
また、4気筒だと最低20万円くらいの費用が掛かります。
はずしたら替えていかなくてはいけない部品点数が増えてくるので
最低20万円や60万円からというようになります。
車両の状態によってもさまざまなので確認する必要があります。

フルオーバーホールを防ぐための対策とヘッドガスケット交換の注意点

フルオーバーホールさせない防護策としては
絶対オーバーヒートさせないことと、まめにエンジンオイルの交換をすることです。
たまにヘッドガスケット交換で済みますか?という質問がありますが
それはあくまでも暫定的な処理であって
ヘッドガスケット交換だけで済ませようというのは、どうかと思います。
本来ははずす(脱着)までの手間が大変なのです。ですから、もう少し
プラスアルファの費用を掛ければ、シリンダーヘッドのオーバーホールができます。

オーバーヒート歴とオイル下がり、オイル漏れの兆候

オーバーヒートしてしまった車両はシリンダーヘッドが反ってしまうから、研磨しなくてはならないので
ダメですが、もともとヘッドガスケットだけを交換するというのはとっても中途半端です。
ヘッドを下ろしたらバルブシールからガイドから全部やりたいかと思います。
そうでなければ、やったお金を掛けた意味がなくなってしまいます。
確かにオイル漏れは止まりますが、それでエンジンが調子よくなるかというと
それは全く別問題だからです。ただ、オイル漏れが止まるだけのことですから。
それで何十万も払うのだったら、ちょっと費用を掛ければ
ガイド入れ替えですとか、バルブシートをやるとかっていうように
きっちりできるわけなのです。

高水温によるエンジン部品への影響と点検の難しさ

ヘッドオーバーホールの範囲と長期使用のメリット

たしかにあと費用をプラス8万円、10万円~なってしまいますが
でもこれから長く乗るからわざわざシリンダーヘッドを外してオイル漏れも直してしまうわけでしょう。
だったら、ガイドまでやれば何ともなくあと10万キロぐらいは乗れるのですから。
やはりヘッドを外すということは、中途半端で終わらせるならば
やらないほうがいいということです。

オーバーホールの必要性を見極める難しさ

オーバーホールが必要か、それとも片足突っ込んでしまっているかどうかを
見抜く方法というのは、我々も開けてみないと分からないという場合がほとんどです。
ヘッドを下ろして反りなどを測定して判断したりします。
そこで数値がコンマ何ミリか違えば、過去にオーバーヒートさせているなどの
ヒントを見つけることができます。
外観で判断するというのはなかなか難しいです。

注意すべきエンジンの兆候

以前オーバーヒート寸前までにしてしまった人は要注意です。
あと、オイル下がりでプラグが汚れてくすぶる
そういう車両はバルブシールをやらなくてはいけません。
ガイドを打ち替えてバルブシールを交換するといった作業になります。
それとシリンダーヘッドからのオイル漏れをしている車両。
水温が高くなってしまっている車両などは予備軍
に入ります。

高水温がエンジンに与える影響とボルトの緩み

常に110度前後という状態を行ったり来たりしてしまっているわけですから
それというのは、オーバーヒート寸前ということです。
ただレッドゾーンに入らないというだけであって、内部ではヒートしているわけですから
そういう状態をずっと続けていれば、当然ヘッドがとても熱を持つので、反りが出てくるというわけです。
そうすればその反った場所からオイルが漏れてきます。

エンジン自体はボルトでがっちり閉めてあるのですが
そのボルト自体も熱で膨張して伸びるわけでしょう。
ボルトも冷えたり熱くなったりを繰り返しているわけなのです。
冷えて縮んで熱せられて伸びるといった具合です。
そうすると、どんどんとボルト自身も緩くなってきてしまいます。
そういうのは全てエンジンを開けてみないことには
状態を確認することは不可能です。

バルブガイド異常とヘッドオーバーホール 2

 

エンジンを長持ちさせるための予防策とメンテナンスの重要性

まめにエンジンオイルを交換してクーラントの管理をきちんとして
エンジンをオーバーヒートさせないようにすること。
これが一番の防護策になります。

エンジンオイルの交換は3000キロごと、クーラントの入れ替えは1年ごとです。
オイルと水だけの管理たったそれだけです。
セミオーバーホールはヘッドガスケット交換とバルブシール交換
ものによっては、バルブタイミングをみてカムシャフトのスプロケット等。
磨耗していく部品やそういう補器類の交換が主です。

メーカーは「10万キロごとにタイミングチェーンの伸びを見なさいよ
その時に、狂っていればスプロケットだとかギア関係を交換しなさいよ」と言います。
ベンツのタイミングチェーンは良くても悪くても10万キロで点検することです。

日本とドイツの走行環境の違いとユーザーの車両管理

ドイツに比べて日本は走り方が違います。
ドイツで10万キロ走ると減るらしいです。
それはそうかと思います。4000キロから5000キロ回転で
バーっと長距離を走ってしまうわけですから。
日本は4000回転から5000回転なんて回せないです。
ですので、目安もなにも環境が違うから難しいです。
それこそ「ユーザーの車両保守管理」に掛かってきます。
自己管理で10万キロ走ったら点検するというような管理の仕方になると思います。
エンジンオイルをまめに交換して、クーラントをきちんと交換していれば
一生エンジンのオーバーホールなんてしなくていいと思います。

もしオイル下がりやオイル漏れをしている車両に、急にオイルや水の管理をはじめても、もう手遅れです
場合によっては、早急に対処しなくてはならない車両もあります。
第一にメルセデスは輸入車だということを頭に入れておく必要があります。

輸入車(メルセデス)特有の考慮事項と日本の気候条件

自国で走って何ともないように作ってあるのが車だからです。
ヨーロッパで走っているの車両でもエアコン付きは、今は標準であるでしょうが
当時なんて無かったです、つい最近までは。必要ないので、全てオプションになっていました。
ということは気合入れて作ってないので、ぶっ壊れても当たり前と思ったほうがいいです。

日本の風土は、冬は雪が降ってとても寒く、夏は高温多湿でとても暑いです。
その温度差といったら夏は40度まで上がりますし、車のエンジンルームなどは
80度、90度まで上がってしまい、また、冬は氷点下10度くらいまで下がってしまいます。
ということは、日本は100度くらいの温度差の中で車両を使用しているというわけです。
それに200メートル300メートルごとに信号もあります。
ですので、日本の車が世界中どこへ行っても壊れない
よく走り、重宝されるというのはその過酷な風土に合わせて作っているからなのだと思います。

「燃料が沸騰してエンジンが止まるなんてありえない」
向こうは涼しいところを突っ走っているのですから、分からなかったのかもしれません。
夏でも、25度ほどしか気温が上がらないのですから。

また北欧は年間のうち日が差す時期も少ないです。だからスライディングルーフは標準装備。
オープンカーもそうですが、健康の為に日に当たるという目的で標準装備になっているわけです。

そういった基準で作られた車両を管理維持していくということを
常に頭に置いて、お乗りいただけばよいと思います。