
開始早々質問します。今回は「バルブスプリングが折れた。」
「突然バルブスプリングが折れた。」みたいな感じで大丈夫ですか?

まずお客様の自宅から勤務先の駐車場までは順調に乗ってきたんだよ。
それで、駐車場で車庫入れをしようとしたら、「急にエンジンがボソボソし出した。」
そして「アイドリングすらしなくなった。」

アイドリングすらしなくなった。

そう。要は「エンスト。」それで、そのエンストを繰り返して
とにかくガレージまで入れたという流れだね。
入庫の際には、「そういう状況なんで見て欲しい。」と連絡があったわけ。
話を聞く限りだと、自走は無理だろうと判断させてもらい
ご自身で加入している保険会社のレッカーで入庫してきました。
まず一通り、テストをするよね。エンジンをメルセデスベンツ専用テスターにかけたり
コンプレッションを測ったりして。
いろいろテストした結果、結論としてエンジン内部のバルブがダメなんだねっていう話なんだ。
エンジンのカバーを開けました。バルブを見たらバルブが落ちています。
要するに、バルブスプリングが折れている状態だね。
金属疲労だと思うんだけれど、いずれにしても珍しいケースだね。

この症状のモデルは何ですか?
Eクラスの124?

124のAMGの3.2
それで悲しいのは、部品が一切、生産中止。
もう少数台数だし、希少の分類なんで世界的にも少ないんだよね。
さてはて、どうしようかというトコで、
世界中のエージェントに声をかけて部品をかき集めて
それでこれから作業を始めてるところなんだ。

その、バルブスプリングが折損するという現象について原因は予測できますか?

金属疲労だろうなぁ。

「金属疲労」
それだと、124のモデルですでにその状態の個体が出たということは
他の古いモデルや124でもそういうケースって起こりうる可能性がありますか?
バルブスプリングって全てのクルマについているわけだし。

全部付いてるなぁ。全部に付いてる。

バルブスプリングが折れる事自体、わたしは初めて聞く症状です。

うん。めずらしいよ。
過去にこのクルマは、ウチにくる前にやっぱりエンジンを修理してるんだよ。

そういう形跡が見られるって感じですか?
メカニックが見ればわかるって感じで。

そうだね。それでその「修理後も変わらず、ずっと調子が出ない」というきっかけで
ウチに来た車なんだ。

なるほど。

「夏場に渋滞に入ると、エンジンが止まっちゃう。」というのを
他の修理工場で散々やっていたんだけれど
エンジンが止まるという症状は直らなくて
「サカモトさんお願いできる?」って流れ。
それで、その症状についての原因は別にあって、それは直って良かったんだけど
今回のトラブルは奥様が乗っていたら突然そういう状況になったんだよね。
駐車場に入れる時だから、エンジンを回している訳でもなく
普通に乗っていてぽとっとおかしくなっちゃった。
まぁ、金属疲労しかないんだろうな。総合的に見ても。
バルブのみの動きだけ見ても大して問題もないし、引っかかる様子もないんで。
それしかないんだろうなと見ているよ。

バルブのスプリングが折れるって想像があまりつきませんね。

とはいえ、バネだからね。金属でできたバネ。

そこにプレッシャーが架からない。

だからバルブを持ちあげられなかった。
リフトでいけなくてバルブのスプリングテンションでバルブも落ちゃって。
ポトッて感じだよなー。
だからバルブが閉じないんだよ今度。
持ち上げてくれないから、上に引き上げてもらえないからバルブが開きっぱなしになる。

開きっぱなしでエンジンの調子が悪くなる。エンジンの不調と一言で言っても色々原因がありすぎますね。

おお、もちろん千差万別よ。
今回はそういったことが起きている、この車両を修理していくぞって流れだ。
じゃあ、仕事してくる。
といって、坂本は工場へと向かってしまいました。
この記事をご紹介している今は、もうすでにその整備は完了していて
楽しく快適にドライブしていただいています。
と締めくくりたかったのですが、納車してからというもの
仕事が忙しく乗れていないと報告があり、これでは元通りになってしまい
再び同じ症状になってしまう恐れがあることと、部品がもう手に入らないので
「せめてエンジンだけはかけてください!」
とアドバイスをさせていただきました。